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「監査を続けたい」は思い込み?【私は楽をしたいだけでした】

こんにちは。

「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。

 

 

私は定年まで「監査を続けたい」のだと思い込んでいましたが、単に「楽をしたい」だけだったようです。

今更なのですが転職するにあたり、改めて自分のことを見つめ直しているうちに、このことに気付きました。

監査法人で働く公認会計士の中には、定年まで監査を続けたいと考えている人も多いと思います。

でもそれは私と同じように単に「楽をしたい」だけではありませんか?

 

人間はほっておくと知らず知らずのうちに「楽をしたい」と考え始める生き物です。

この自分でもなかなか気付けない「楽をしたい」という思いには注意が必要です。

 

監査の面白いところ

監査が面白いか面白くないかは意見の分かれるところだと思います。

中には監査なんて面白くともなんともない、という方もいらっしゃると思います。

 

私はどうやって監査証拠を集めていくのか、その戦略を考えるところに面白みを感じていました。

監査要点ごとに最も効果的、効率的と思われる手続きを組み合わせて証拠を集めていく方法を考える、このプロセスがロールプレイングゲームのようにも思えて、ひとり面白みを感じていました。

 

なので計画立案は嬉々として取り組んでいました。

でも計画立案が済んでしまうと、あとは計画に従って手続を実施するだけです。

中には手続を実施することこそ面白いのだと思っている人もいるかもしれませんが、私は手続を実施する段階になると、途端に興味を失っていました。

 

会計処理についてクライアントと協議するのが面白い、内部統制の検証で会社ごとに異なる業務プロセスを知るのが面白い、開示書類でより良い開示となるように記載内容や表現を検討するのが面白い。

面白いと感じるポイントは人それぞれですが、仕事が面白いと感じることができるのは幸せなことなのだと思います。

 

監査が面白いと感じるかどうかは人それぞれ。でも面白いと感じながら働けるのは幸せなこと

 

 

寝る間を惜しんで獲得したスキル

私はこれまで20年近く監査を実施してきましたので、誰よりも高品位な監査が実施できると自負しています。

でも最初から監査ができたわけではありません。

スタッフの頃は何をやったらいいのか分からず、いつも的外れな手続ばかり実施していました。

 

新人の頃は前年度の調書をお手本にして手続を実施することはよくあることだと思います。

私も新人の頃はよく先輩が作った調書をお手本にしていました。

でも多くの場合、残されていた前年度調書は何を目的にして何を確かめたのか訳の分からないものとなっていました。

 

無理もありません。

前年度調書は、一年前に自分と同じ新人だった一個上の先輩が作ったものなのです。

 

しかも今では考えられないことなのですが、私が最初に入所した監査法人ではインチャージやパートナーによるレビューがほとんど行われておらず、スタッフが作った調書は作りっぱなしだったのです。

これではまともな調書が引き継がれるわけがありません。

 

こんな環境の中で新人時代を過ごした私なのですが、生意気にも「質の高い監査をやりたい」という思いは人一倍強かったように思います。

与えられた勘定科目を検証するために何をやればいいのか、時間が許す限り考えて、試行錯誤を繰り返しました。

 

こんなことをしていると、調書はとても定時には完成しません。

私はいつも深夜まで事務所に残って、ひとり「質の高い監査」を追求していました。

あるいは平日だけでは足りず、休日にひとり事務所に出てきて試行錯誤を繰り返していました。

これらはすべて自分のためにやっていることだと思っていたので、残業代は一切請求せずにやっていました。

 

今考えると体を壊してもおかしくない働き方だったと思いますが、当時は夢中でやっていました。

 

こんなことを何年か繰り返しているうちに気が付けば、「質の高い監査」というものがどういうものか理解できるようになり、一通りの監査手続が実施できる会計士になることができていました。

 

凡人だった私が監査をマスターするためには多くの時間を割く必要があった

 

 

さらに高みを目指して

スタッフ時代に人一倍努力して、ようやく監査ができる会計士になった私なのですが、さらにそのスキルを高めたいと考えるようになりました。

 

そこで最初に入所した監査法人に見切りをつけて、別の大手監査法人へ転職しました。

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配属された部門はグローバル企業を抱えている部門で、質の高い監査を実施している部門でした。

ここでは作った調書はすべてレビューされ、常に質の高い監査が追及されていました。

スタッフ時代にある程度スキルを身に付けていた私なのですが、この新しい職場でさらにスキルに磨きをかけることができました。

そして数年後には、日本を代表するようなグローバル企業の監査でも通用するような質の高い監査を実施できる会計士になることができたのでした。

 

このように私にとって監査スキルは、監査をしているうちに自然に身に付いたスキルというわけではなく、転職というリスクを取ったり、寝る間を惜しんで試行錯誤したりしてようやく身に付けたスキルだったのです。

 

質の高い監査を実施するスキルを身に付けるために、転職というリスクまで取った

その後は惰性で監査をやっていたに過ぎなかった

苦労して獲得した監査スキルだったので、このスキルで一生食っていきたいと考えるのは自然の流れだったように思います。

その後、プラスαが欲しくてバックオフィス系の部署や地方事務所での勤務なども経験しましたが、軸足は常に監査におくことを強く意識していました。

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なので私は監査が好きで、ずっと監査をやり続けたいのだと思っていました。

 

でもすべての監査クライアントを後進に譲り、監査から完全に離れてしまった今、不思議と監査をやりたいという気持ちが湧いてこないのです。

そして今まで監査に固執してきたのは監査が好きだったからではなく、一度身に付けたスキルで「楽をしたかった」だけなのだったということに気付いてしまいました。

 

監査は一度スキルを身に付けてしまえば、あとは基準やマニュアル等の改正をアップデートするだけで、惰性で続けることができます。

 

私は「楽をしたい」がために、そのようにして惰性で監査を続けていたに過ぎませんでした。

 

苦労して身に付けたスキルだったからこそ、スキルを身に付けた後は、そこから得られるリターンを最大化することに終始していたのだと思います。

 

でも惰性で監査を続けた結果が今なのだと思います。

 

もし監査スキルを身に付けようと夢中になっていた頃のように、他のスキルを夢中で身に付けていたなら今とは違う結果になっていたはずです。

このことを思うと自分のことながら、とても残念に思います。

 

「監査を続けたかった」わけではなく身に付けたスキルで「楽をしたかった」だけだった。監査スキルを身に付けようと夢中になっていた頃のように、他のスキルを夢中で身に付けていたなら今とは違う結果になっていたはず

 

 

まとめ

特定のスキルを苦労して身に付けると、そのスキルを使って「楽をしたい」と思うのは人間の性(さが)なのだと思います。

 

でも若いうちに「楽をする」ことを考えてしまうと、その後に必ずしっぺ返しをくらうことになることを理解しておくべきだと思います。

私はことのことを理解していなかったがゆえに、今のように40代後半になって辛い立場に追い込まれてしまっています。

 

「若いうちの苦労は買ってでもしろ」と言いますが、これは真実だと思います。

皆さんの中には「定年まで監査を続けたい」と考えている人もいるかもしれませんが、それは私のように「楽をしたい」からではないか、もう一度自分に問いかけてみてほしいと思います。

 

 

 

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