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大手監査法人でのCPE研修不正受講【問題の根幹はどこにあるのか】

こんにちは。

「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。

 

 

2020年9月7日の朝日新聞で大手監査法人でのCPE研修の不正受講問題に関わる記事が掲載されました。

「あずさ監査法人が会計士45人処分へ 法定研修で不正か」(朝日新聞2020年9月7日)

 

監査法人で働いていれば法人が実施する各種必須研修を受講するだけでも必要な単位の半分くらいはクリアできます。

残り半分はeラーニング等で任意研修等を受講することによって必要単位の取得を目指すのですが、これが正直面倒くさい。

私は二重起動など思い付きもしませんでしたが、知っていたら自分も同じことをやっていたかもしれません。

 

この問題はどうしても他人事とは思えないので、今回はこの問題について深堀してみたいと思います。

 

法令違反の可能性

事案の概要は以下のとおりです。

大手のあずさ監査法人は7日、所属する会計士45人が法律で義務づけられた研修をオンラインで不正に受講していた疑いがあると発表した。二つの講座に同時にログインして受講したと偽り、単位認定を受けた可能性がある。

(中略)

3月に内部告発があり、過去数年にわたってパソコンのログなどを調べたところ、20代~40代の45人が1台の端末を使って二つのオンライン講義を同時に受講した可能性があることがわかった。あずさは最終的な調査を現在進めているが、対象となる会計士の中に「パートナー」と呼ばれる幹部社員も含まれている。

システムに二重ログインができるようになった2014年から、不正受講を繰り返していた会計士もいるという。あずさは今年5月にシステムを改修し、現在は同時にアクセスできない仕組みに変えた。

(後略)

引用元:朝日新聞2020年9月7日付記事より

 

これを受けて日本公認会計士協会が9月7日の記者会見で当該行為が「法令違反行為に該当する可能性」があるとコメントしたようです。

 

そもそもCPE制度は公認会計士法で義務化された制度であることから、この義務を履行しなかったことが法令違反行為に該当する可能性があるとされたようです。

また義務の不履行者には、

  • 履修勧告
  • 監査業務の辞退勧告
  • 氏名などの公表
  • 会員権停止1年および行政処分請求
  • 退会勧告および行政処分請求

などが行われることになっています。

不正受講は過去から繰り返し行われていたということですので、場合によっては会員権が停止されるべき者によって監査手続が実施、あるいは意見表明が行われた可能性まで考えられます。

 

不正受講を行った45名は軽い気持ちで行ったのでしょうが、単なる研修の不正受講の問題だけでは済まない事態になっているようですね。

 

CPE研修の不正受講は単なる義務の不履行には留まらず、法令違反行為に該当する可能性すらある行為として扱われる

 

CPE制度の実態

日本公認会計士協会は今回公表したコメントの中で

「CPE 制度は、上場会社の監査という公益に資する業務を担う公認会計士にとって、その資格の根幹に関わる制度」

とCPE制度の意義を強調しています。

 

でも本当にCPE制度は意味のある制度なのでしょうか。

 

受講期限の迫った必須研修を消化するために、仕事をしながらバックグラウンドでeラーニングを流し単位を取得する方法は、皆さんもやられている単位取得のための常とう手段なのではないでしょうか。

問題はeラーニングだけではありません。

 

集合研修だって

  • 受付でCPEカードを通して外出し、研修終了時間に合わせて戻ってきて再度CPEカードを通して不正に単位取得
  • 研修中にPCを開いて仕事をし、受講したフリをして不正に単位取得
  • 研修中に居眠りしながら不正に単位取得

などは研修会場でよく見る光景です。

 

これらは一部の倫理観の欠けた会計士だけが行っていることなのでしょうか。

私はそうは思いません。

このようなことが日常的に起きるのは、受講する研修に意味を見出せない者が多いからだと私は思います。

 

本来公認会計士は職業的専門家として、その存在意義を掛けて研鑽を重ね続けなければならないのであって、強制されて研鑽するものではないはず。

それをひとくくりにして一律に研修受講を求めるから上記のような事態が起きるのだと思います。

 

現状のCPE制度は公認会計士の質が担保されていることを外部に示すための方便でしかないように思えてなりません。

真の意味で監査の質の向上を図るなら、監査業務を行う会計士の資格を更新制にして更新時に試験を課すなどすればいいのだと思います。

 

そうすれば監査法人における「監査」軽視の風潮がちょっとは改善されるようになるかもしれません。

パートナーたちも営業に奔走するのではなく、真摯に監査に取り組むようになるかもしれません。

 

2004年に公認会計士法で義務化されてから15年以上の時間が経過しています。

その時々の要請を受けてマイナーチェンジは行われてきましたが、そろそろ根本的な改革が必要な時期なのかもしれません。

 

CPE研修の不正受講は横行しているが、管理を強化しても管理しきれるものではない。今こそ抜本的な変革が必要なのかもしれない

 

まとめ

今回の件で早晩CPE制度は改正され、受講管理の厳格化や職業倫理に関する研修などが増えるかもしれません。

でもそんなことは問題解決には何の役にも立たないように思います。

 

問題の本質は監査法人が「監査」を軽視する経営姿勢そのものにあるのだから、これを改善させないと真の問題解決にはなりません。

 

あずさは事態を重く見て事実を公表することとしました。

でも他法人はどうするのでしょうか。

まさかだんまりを決め込むなんてことはないと思いますが、今後の動きには注視していきたいと思います。

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