こんにちは。
「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。
公認会計士が監査法人を辞めて、やることといえば「独立開業」ですね。
私も幾度となく考えてしまいます。
また独立開業していった知人にねほりはほり話を聞いたりしています。
せめてあと10歳若ければ、独立開業に向けて迷わず行動を起こすのですが、私の場合はどうやら監査を長くやりすぎたようです。
パートナーになれない人がだらだら監査法人にいると、私と同じように取り返しが付かなくなるので、気を付けてください。
どんな仕事をやっているのか
独立開業した公認会計士がどんなことで飯を食っているのか、知らない人もいらっしゃると思います。
そこで私の知人たちが、どんな仕事をして稼いでいるのか、書いてみたいと思います。
税務
中小企業の決算や申告業務を行って報酬を得ています。
多くの会計士が、この「税務」を主たる収益源としています。
毎月会社へ伺い、正しく記帳が行われていることを確かめるとともに、月次決算について簡単な分析を実施し、経営課題等とともに報告するなんて業務を行って、月に数万円から十万円程度の報酬を得ています。
また期末決算の際には、税務申告を行い、別途十万円から数十万円程度の報酬を得ています。
単価の安い記帳代行については、儲かっている会計士ほど、やりたがらないようです。
法人よりも単価が下がるのですが、個人事業主の確定申告についても積極的に行っています。
単価が安いことが多いのですが、慣れてしまえば手続が簡単なことに加え、数をこなせばそれなりの金額になることから、積極的に受けているようです。
相続税関連は、単純な案件ならリスクがなくていいようなのですが、中途半端な知識で手を出して失敗してしまうリスクを考えて、難しい案件は相続税が得意な同業者へ紹介することが多いようです。
コンサル業務
会社設立・創業支援、補助金申請サポート、資金調達のための事業計画策定支援など各種コンサル業務によって報酬を得ることもあるようです。
税務顧問をしている先の案件が多いようですが、紹介などで案件が舞い込んでくることもそれなりにあるようです。
報酬は定まったものがなく先方との交渉となるのですが、税務顧問先などの場合は欲張らないようにして、低く抑えることが多いようです。
作業等が発生する場合は、一日当たりの報酬額を積算して報酬額を算出しているとのことですが、一日当たり数万円から十数万円を目標にして報酬額を決定しているそうです。
このあたりは私が監査法人でコンサル案件を受注する場合と大差ありませんね。
非常勤監査委員
数は少ないのですが、上場会社の非常勤監査委員に就任している会計士もいます。
監査法人時代に担当していた会社の経営者に気に入られていて、独立開業後に事務所へ連絡があり、非常勤監査委員への就任を依頼されたということでした。
毎月開催される取締役会とその後に開催される監査委員会への出席が主な業務で、月額二十万円程度の報酬が得られているようです。
取締役会で専門家としてのプレゼンスを示すのが大変だと話していましたが、月一で20万円なら非常においしい仕事だと思います。
上場会社なので取締役に就任することにリスクがないわけではないと思いますが、うらやましい話です。
また別の知人は、IPO準備中の会社の非常勤監査役へ就任しています。
勤めていた監査法人のパートナーから公開準備支援している会社の案件を紹介されたということなのですが、報酬額は月額十万円程度と低く抑えられているそうです。
また公認会計士として株式公開に向けての助言なども期待されていて、手間がかかる割には報酬が安いと愚痴っていました。
非常勤監査役の案件は、会社に深く入り込む仕事であるため、経営者との信頼関係が不可欠です。
税務顧問やコンサル案件を入り口として、経営者と信頼関係が築けた先で初めて見えてくる案件であり、普通に会計事務所を運営していても、なかなか声が掛かることはなさそうです。
監査業務
こちらもあまり数がないのですが、一部の会計士たちは監査業務を受注しています。
私学助成を受ける私立幼稚園の会計監査を行っていて、報酬は年間五十万円ほど得ているそうです。
知人からの紹介案件だったそうですが、監査法人時代に学校法人監査の経験があったことから、喜んで引き受けたとうことでした。
園への往査は2日ほどで、調書の取りまとめや計算書類のチェックなどを含めると年間5日程度の時間は必要になるそうですが、経験がある人のとってはおいしい仕事ではないでしょうか。
また最も多く稼いでいる知人は会社法監査の案件を抱えていたりするのですが、金融機関からの紹介案件だったそうです。
数百万円の報酬は得ているそうですが、補助者の会計士を使って手続きを実施させていて、報酬の半分以上がこれらへの支払いに消えてしまい、あまり手元に残らないとのことでした。
監査業務は問題があった時の訴訟リスクを考えると、割に合わない仕事なのかもしれません。
研修講師
年に数回舞い込んでくるのが、研修講師の案件だそうです。
自治体からの依頼が税理士会経由で回ってきたり、金融機関から依頼されたりするそうです。
報酬はせいぜい十万円で、準備期間を考えると全く割に合わないようなのですが、研修参加者がその後に顧客になることも少なくないことから、率先して研修講師を受けている人が多いようです。
どれくらい稼いでいるのか
独立開業した知人たちは上記のような業務を仕事としているのですが、どれくらい稼いでいるのか。
これはピンキリですw
最も少ない人は事務所の売上は三百万程度で、非常勤の仕事がなければ食っていけないと言います。
逆に最も稼いでいる人は、20人くらいの従業員を雇い、売上高一億数千万円、従業員たちの給料を支払った後に手元に残るのが三千万円以上と言います。
でも多いのは、1千万円前後稼いでいるという人が最も多いのではないでしょうか。
もし私が独立開業するなら、監査法人でもらっていた給料分くらいは稼ぎたいと思うはずです。
同じように監査法人時代と同じくらいは稼ぎたいと思う人が多いでしょうから、このようになるのかもしれません。
売上の増やし方
独立開業した人たちは皆、口をそろえて「看板を掲げたからと言ってお客さんが来るわけではない」と言います。
年に数人、飛び込みで契約に至ることもあるそうですが、そんなことはレアだそうです。
ではどうやって売上を増やしているのか。
- 「声が掛かった案件に全力で取り組み、お客さんの信頼を得ることができたら、もしかしたら別の人を紹介してもらえるかもしれない」
- 「同業者からの手伝いを依頼されたときに、手を抜かず質の高い成果物を納め続けることによって、いい案件も紹介してくれるようになった」
- 「飲み屋で知り合った人がたまたま税務顧問を探していて、酔っぱらった勢いで仲良くなって、その後に契約に至った」
- 「自治体が開催する無料税務相談で親身に相談に乗っていたら、事務所まで来てくれて、その後契約に至った」
会計事務所は立派な事務所を構えたからといって、お客さんが来るというわけではありません。
また飛び込み営業したからといって、何か業務が受注できるというものでもありません。
皆が口をそろえて言うのは、「売上を増やしたければ、人脈を増やせ」ということです。
必要なスキルを身に付ける
人脈については、監査法人に勤めている間にいくらでも増やすことが可能です。
ベンチャー支援などの業務に携わる機会があるなら、これを利用しない手はないと思います。
また研修講師などは積極的にやった方が良さそうです。
名前や顔が売れれば、独立開業後に有利に働くことになるはずです。
一方で開業後メインの収益源になるはずの税務関連のスキルについては、監査法人で身に付けるのは困難です。
独立開業した会計士たちは、皆、「開業するならある程度税務の経験を積んでから開業するように」と言います。
将来的に独立開業を目指すなら、開業前に税理士法人や会計事務所でスキルを身に付ける期間も考えておく必要がありますね。
以下の転職エージェントなら会計事務所や税理士法人の求人情報もたくさん扱っています。
マイナビ会計士(※マイナビのプロモーションを含む)
MS-Japan(※MS-Japanのプロモーションを含む)
ジャスネットキャリア(※ジャスネットキャリアのプロモーションを含む)
いずれも無料で利用できますので、これらのサイトで情報収集しておくと良いと思います。
まとめ
監査法人でパートナーになれなければ、職員として定年まで働くことはできません。
女性なら専業主婦になる選択肢もあると思いますが、男性は定年まで働き続けなければなりません。
いつか監査法人で働けなくなるなら、転職市場での市場価値が高いうちに、次のキャリアプランを探すようにしてください。
独立開業するのも一つの方法なのですが、上記のように準備期間が必要なので、しっかり目標を立てて実行するようにしてください。
私のように40代になって監査法人で辛い思いをする会計士が、一人でも減ってくれれば本望です。
独立開業を考えているなら、以下の記事もどうぞ。
コメント