独立開業後にする税務の仕事とは【開業会計士に聞いてみた】

こんにちは。

「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。

 

皆さんは独立開業後の会計士たちがどんな仕事をして食っているのか知っていますか。

独立開業後は税務の仕事がメインになるという話はよく聞きますが、具体的に税務の仕事って何をしているのでしょうか。

 

監査法人で働く公認会計士が出口戦略を考えるとき、独立開業は大きな選択肢の一つです。

にもかかわらず監査法人で働く会計士たちは、開業会計士たちが行っている税務の仕事について知っているようで知らないことが多いように思います。

 

私も近いうちに監査法人を辞めて独立開業することになりそうです。

そこで先に独立開業を果した会計士たちに、さまざまなことを教えてもらっています。

 

今回はその中でも開業会計士たちがやっている税務の仕事についてまとめておきたいと思います。

 

税務の仕事

税務の仕事は大別すると法人顧客向けの税務業務と個人顧客向けの税務業務があります。

 

法人顧客では顧問契約を前提にした月次顧問業務に合わせて、決算時の決算申告業務やスポットで行うその他業務がある。

個人顧客では、確定申告業務や相続税申告業務、相続相談業務などが仕事になる。

 

個人顧客と法人顧客の比率は事務所の運営方針によってさまざまなようです。

資産税に強みを持つ会計事務所の場合は個人顧客の比率が高いようですが、事務所の場所がオフィス街にある場合などはやはり法人顧客の比率が高くなるようです。

 

法人顧客の税務業務

法人顧客に関する税務業務は大別すると

  • 月次顧問業務
  • 決算確定申告業務
  • その他業務

の3つに分かれます。

 月次顧問業務

月次顧問業務とは、

  • 記帳代行
  • 税務監査
  • 月次訪問

のことをいいます。

 

記帳代行とは会社の代わりに日々の記帳を会計事務所が代行することをいい、会社の中に経理要員を置けない、あるいは置くほどでもない中小企業に対して提供しているサービスである。

監査法人が相手にするような大企業では経理部門を持っていることが当たり前だが、従業員の少ない中小企業では経理要員がいない会社も多く、記帳代行が中心的業務になっている会計事務所も少なくない。

ただし記帳代行サービスは業界内でのダンピングが進んでおり、報酬は低下する一方である。差別化を図るためにもプラスαの価値を提供していくことが重要。
決算数値を分析して月次資料と合わせて提出すると意外と喜ばれることが多い。

 

税務監査とは記帳代行を請け負っていない顧問先の会計帳簿等を月次でチェックする業務のことをいい、「月次巡回業務」と呼ぶ会計事務所もある。

会計仕訳数が少なければ確定申告前にまとめてチャックすることも可能だが、仕訳数がそれなりになる会社では申告前にまとめてチェックすることはできないため、月次で実施する。

監査で業務平準化のために月次で取引をチェックするのに似ているかもしれない。

 

月次訪問は毎月会社を訪問して、税務相談や経営相談に応じる業務のことをいう。

記帳代行を請け負っている顧客に対しては、月次決算の内容を経営者に報告する場にすることもある。

経営者は経営上の悩みを従業員に相談するわけにもいかず、会社の事情を良く知る会計士が相談相手になることによって喜ばれることが多い。

と開業会計士たちはいいます。

 

平常月は上記のような業務を粛々とこなしていくことになるようです。

決算確定申告業務

決算確定申告業務は

  • 記帳代行を請け負っている先の決算業務
  • 法人税や消費税などの申告書作成業

のことをいいます。

 

決算業務は記帳代行を請け負っている顧客の決算業務のことをいい、未収未払の計上や償却計算、棚卸資産の確定など決算整理を行い、決算書を作成する業務のことをいう。

仕訳数がそれなりの数になる会社の場合は月次顧問業務の中で月次決算を行うことになるが、仕訳数が少ない会社の場合は決算整理仕訳のみならず、すべての仕訳をここで計上することになるため業務量はばかにならない。

会社のニーズにもよるが決算は税務基準で行うことが多く、上場企業のような複雑な会計処理を行うことは少ない。
ただし規模の大きい会社の場合、取引先の上場企業の要請で上場企業並みの決算を要求されるケースもある。

 

税務申告書作成業務は会計士や税理士の本来業務である。

昔の税理士は税務申告書の作成だけで食っていけたといわれていたが、現在は税務申告書の作成だけで食っていくのは難しい。

上場企業の場合は申告書まで会社が作成して顧問税理士は内容をチェックするに留まることが通常だが、申告書の作成ができる中小企業はほとんどない。

経理業務を自計化している顧客から申告書作成業務だけを依頼されることもあるが、決算数値の正確性が担保されないため、税務監査がセットでなければ受けない会計事務所もある。

申告書の作成は申告書作成ソフトを使えば簡単。結局入力する数字を正しく把握することに多くの時間は割かれるので、ここが工夫のしどころ。

と開業会計士たちはいいます。

 

3月決算の法人顧客を多く抱えていると4月、5月に業務が集中して繁忙期になるのは監査法人と同じようです。

その他業務

その他業務には

  • 年末調整
  • 融資支援、補助金助成金等申請支援
  • 事業承継
  • 税務調査対応
  • セミナー講師、税務相談員

などがあります。

 

年末調整は法人顧客の従業員や経営者が納めるべき所得税の額を計算し申告する業務のことをいう。
毎年12月から1月は年末調整業務でプチ繁忙期になる。顧客企業の規模にもよるがサービス業を営む企業などの場合、正社員の他、アルバイトも多数いて相当な数の年末調整を行うこともある。
調整内容は限られており、典型的な定形業務であることから報酬は従業員一人あたり数千円にしかならない。たくさんの数をこなすことが必要。

 

融資支援は金融機関から提出を求められる事業計画や資金繰り予測の作成を支援する業務のことをいう。
補助金助成金等申請支援は公官庁から各種補助金や助成金の申請で提出が必要となる書類の作成を支援する業務のことをいう。

金融機関は事業資金を融資するにあたり過去の決算書の他、今後の事業計画や資金繰り予測の提出を求めることが多くなっている。
ところが中小企業の経営者の中には、事業計画や資金繰り予測などを作成した経験がない経営者も少なくないことから、これらの資料の作成を専門家として支援することになる。

また、ものづくり補助金、革新的事業展開設備投資支援事業、IT導入支援事業、小規模事業者持続化補助金など中小企業の経営を後押しするような補助金や助成金制度は数多くあるが、申請に伴いさまざまな資料の提出が求められるケースも少なくなく、これらの資料の作成を支援することになる。

 

事業承継とは会社の経営を後継者に引き継ぐことをいい、関連するさまざまな業務を提供することになる。

中小企業の場合、親族内承継がほとんどで株式の相続や贈与に関する税務のアドバイスが必要になる一方で、承継後の経営体制の確立に関するアドバイスを行うことも少なくない。
この業務を多数手がけノウハウを蓄積して、事務所の強みしている開業会計士も多い。

 

税務調査対応は複数の顧客を抱える以上、避けては通れない。顧客の数にもよるが、毎年対応が必要になることも。

はじめての税務調査対応のときは勝手が分からず右往左往しがちだが、何度か経験しているうちにコツがわかってくるもの。
基本的に自らが関与した顧客の申告に関する調査への立ち合いであり、きちんと業務を行っているのであれば恐れることはない。

 

金融機関や税務署からの依頼に基づきセミナー講師や税務相談員を務めることもある。
報酬は低額でなので、準備に要する時間のことを考えれば割に合わない仕事である。

ただしセミナーや相談会に参加していた人が後に顧客になった例もあることから、営業活動の一環として人脈を広げるために時間が許す限り、依頼は積極的に受けるようにしている。

と開業会計士たちはいいます。

 

月次顧問業務をルーティンでこなす一方で、これらのスポット業務にも取り組まなければならず、開業会計士たちもなかなか忙しいようです。

 

個人顧客の税務業務

個人事業主などの個人顧客に対しては、

  • 確定申告業務
  • 相続税申告業務
  • 相続対策業務

などの業務を行っています。

 

確定申告業務は個人事業主の確定申告を行う業務であり、事業所得の確定申告は法人顧客の確定申告業務と基本的は同じである。
法人顧客同様記帳代行を合わせて依頼されるケースも少なくない。

法人顧客に比べ個人事業主の方が期待ギャップが生じがちで大変な面もあるが、事業が大きく成長して法人成りするケースも少なくないことから、法人顧客同様力を入れて対応している。

 

相続税申告業務は、依頼主に変わり相続税申告書を作成し提出する業務である。

相続財産が財産評価が簡単な預金や上場株式だけで構成されているなら特段の専門性は不要だが、相続財産に不動産が含まれると難易度が上がる。

開業会計士の中には資産税に関する業務を多数手掛けることによってノウハウを蓄積し、事務所の強みにしている開業会計士もいる。

相続関連業務は単発となることも多く、信頼関係が構築できていない中で業務を進めていく場合には、トラブルに発展するケースも少なくない。

 

相続対策業務は相続発生時の多額の相続税の課税を回避すべく、生前から各種対策に関するアドバイスを行う業務である。

適切なアドバイスを行うためには、相続税法はもとより各種ノウハウにも精通している必要があり、他の税理士等との差別化を図る手段にもなる。

とはいえ生前から相続税のことを考えなければならないレベルの資産家の数は多いとは言えず、顧客開拓は簡単ではない。

と開業会計士たちはいいます。

 

個人顧客は法人顧客に比べて期待ギャップが生じやすい反面、専門家として敬意をもって接してくれる顧客も多く、「この人のために」との思いを持ちつつ仕事ができるようです。

 

まとめ

監査法人で働いている限り、中小企業や個人の税務業務に携わる機会はありませんので、税務業務はどうしてもハードルが高く感じがちですが、難易度は決して高くないと開業会計士たちは言います。

とはいえ全く税務業務の経験がなければスタートで躓くことになるので、やはり独立開業前に会計事務所で2、3年は働いた方がいいと口をそろえて言います。

 

確かに独立開業する前に会計事務所で働けば、事務所運営のやり方を間近で見ることができるし、独立開業後に必要となるツール類も入手できそうです。

 

私のように40代後半ともなると知人を頼るしかなさそうですが、20代、30代の方なら転職エージェントをうまく使って、独自のノウハウで強みを発揮しているような会計事務所に転職してノウハウを盗むこともできそうです。

 

皆さんも監査法人では定年まで働けないのですから、今のうちからセカンドキャリアに向けて準備を進めるようにしてください。

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