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監査法人でゆでガエルになりたいですか【正常性バイアスの恐ろしさ】

こんにちは。

「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。

 

 

私は今40代なのですが、転職活動でも厳しい現実に直面しています。

私を担当してくれているエージェントさんと話していると

「30代の求人案件は無限にあるんですけどね。。。」と言われてしまう始末。

 

なぜ30代のうちに転職に踏み切れなかったのかと今更ながらに激しく後悔しています。

私が転職活動に踏み切れなかった理由は、

  • 事務所の中でそれなりに評価されている
  • 先輩たちは努力不足で、自分は大丈夫
  • パートナー登用への道は一時的に厳しくなっているだけで、状況はまた好転する

と思っていたからです。

 

今考えれば完全に「正常性バイアス」に陥っていますね。

 

ちなみに「正常性バイアス」とは以下のとおり。

認知バイアスの一種。社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。自然災害や火事、事故、事件などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、それを正常な日常生活の延長上の出来事として捉えてしまい、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価するなどして、逃げ遅れの原因となる。(Wikipediaより)

 

今日は「なぜ会計士たちは正常性バイアスに陥るのか」について深堀したいと思います。

皆さんの参考になれば幸いです。

 

評価されていると思っていた

私は年度ごとに更新される評価表を見て、それなりに評価されていると思っていました。

評価は5段階で「5」が最も評価が高くなる評価制度なのですが、「5」をもらったことは過去に1、2回しかありません。

でもそれ以外はほとんどで「4」を得ており、標準とされる「3」も1、2回しかありませんでした。

なので自分はそれなりに「評価されている」と思っていました。

 

でもパートナー登用に当たって、過去のそんな評価は関係ありません。

その人物がパートナーになって法人にどれだけ貢献(=稼げるのか)できるのか、その一点でほぼ決まってしまいます。

そして私程度の稼ぐ力では、パートナーにはなれません…

 

結局、毎年の評価は賞与の配分を決めるためのものでしかありませんでした。

でもなまじそれなりの評価を得ていたために、これでいいのだと思い込んでしまい、大切な時間をずいぶん無駄にしてしまいました。

 

パートナー登用は、法人にどれだけ貢献(=稼げるのか)できるのか、その一点でほぼ決まってしまう

自分は大丈夫

今まで何人もパートナーになれずに監査法人を去っていった先輩たちを見てきたのに、「自分は大丈夫」だと思っていました。

 

人の嫌がる仕事も率先して引き受けてきたつもりだし、求められれば長時間労働だって厭わずにやってきました。

パートナーになれなかった先輩たちは、「努力が足りなかった」のだと思っていました。

そして反対に「自分はこんなにも努力しているのだから大丈夫」と思っていました。

 

また上述のように評価もそれなりに伴っていたのも、このような気持ちを後押ししていました。

 

でも今考えると「努力」なんて自己満足に過ぎません。

パートナーに登用されるかどうかは、法人にどれだけ貢献できるか(=稼げるのか)の一点でほぼ決まります。

「努力」でパートナーになれるほど、世の中は甘くありません。

 

過去の私はまさに「正常性バイアス」に陥っていましたね。

 

「努力」なんて自己満足でしかない。「頑張っていれば大丈夫」という思いがまさに「正常性バイアス」に他ならない

状況はまた好転する

私の「監査法人」人生の中で、本格的に営業に取り組み始めたのは、リーマンショックの頃です。

当時、監査しかやらない者への風当たりは強烈で、営業への圧力はすさまじいものがありました。

マネージャへの昇進条件に、稼ぐ力の評価が加わったのも、この頃だったと思います。

 

でも私は「こんなことは一時的なことだ。金融危機が治まれば激減しているIPOも増えて、昔のように多くの者がパートナーになっていく時代がまたやって来る」と思っていました。

 

でもリーマンショックから12年が経ち、パートナー登用に関する状況は好転しているでしょうか。

リーマンショック後のアベノミクス効果で、この12年で景気は完全回復しました。

でもこの間、ほとんどの先輩たちがパートナーになれず監査法人を去っていく状況は全く変わっていません。

 

 

監査法人のパートナーの数は、すでに飽和状態なのです。

現在のパートナー登用は、毎年定年で減っていくパートナーたちを補充しているに過ぎません。

 

1970年代、80年代はGDP成長率が高位で推移していました。

この時代は上場会社もどんどん増えている時代で、黙っていても監査法人が拡大していく時代でした。

パートナー登用についても、よほど仕事ができない例外を除き、誰もがパートナーになれる時代でした。

優秀な人はさっさと監査法人を辞めて個人事務所を立ち上げていくため、能力のない人が監査法人に残りパートナーになっていくと言われていた時代でもありました。

 

でも2000年以降はGDP成長率は1%を下回る状況が続いており、直近の2019年度に至っては、コロナ禍の影響がまだ出ていないにも関わらず、実質GDP成長率は0.0%となっています。

このような経済下では、昔のようにパートナーが増えていくことはありえません。

 

そして少子高齢化が急速に進む今後の日本で、そのような時代が再び巡ってくることは残念ながらありません。

 

現在のパートナー登用は、同期の中で10人に1人しかパートナーになれない狭き門です。

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私程度の能力では、同じ試験を戦って、勝ち抜いてきた人たちの中でさらに10人の中の1人にはなれません。

 

私はこれに気付くのがあまりにも遅すぎました。

 

少子高齢化が急速に進む日本で、過去のような経済成長はありえない。パートナー登用のハードルは上がることはあっても下がることはない

まとめ

今の私はまるで「ゆでガエル」です。

徐々に周りの温度が上がっていることに気付かず、すっかりゆで上がった今になって、ようやく気付きました。

 

上司であるパートナーやマネージャたちは、基本的にネガティブなことは言いません。

私もリアルでは、後輩たちに一切ネガティブなことは言っていません。

 

なぜか。

 

後輩のモチベーションを高め、最大限の成果を出させるためです。

「がんばってもパートナーになれない」なんてリアルで後輩たちのモチベーションを下げても何の得もありません。

反対に「がんばっていれば、きっとパートナーになれるよ」とおだてたりしています。

私の下でしっかり働いてもらわないといけないからね。

 

 

このブログでは贖罪も兼ねて、これまでリアルではあまり語られなかったことを書いているつもりです。

皆さんは、決して「ゆでガエル」にならないようにしてくださいね。

 

 

 

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