こんにちは。
「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。
同じ部門で働く後輩が退職するみたいです。
退職後は一般事業会社へ転職するそうですが、コロナ禍の真っただ中で思い切りましたね。
能力的にパートナーになるのは難しいと思いますので、彼のことを考えれば転職には大賛成です。
でも私の仕事も手伝ってもらっていたので、辞められると困ったことになるのですが、仕方ありません。
監査法人を辞めていく理由はさまざまだと思います。
でも「辞めたい」という気持ちを押し殺して我慢して働き続けることには注意が必要です。
心の病を患った後輩
まだ私が監査中心で働いていた時のことです。
ある日、深夜まで事務所に残って作業をしていました。
いつもなら同じように遅くまで残っている人が何人かいるはずなのですが、その日は珍しく同じフロアで残っているのは私と後輩のAさんだけでした。
Aさんはまじめに仕事に取り組んでいるスタッフなのですが、どちらかというと要領の悪いどんくさい人でした。
でも人懐っこい性格だったこともあり、マネージャたちは好んでAさんを使っていました。
その日は誰かに頼まれた仕事が終わらないらしく、遅くまで残って作業をしているようでした。
そんなAさんなのですが、終電までには帰りたいと思っていた私は、特にAさんに気を払うことなく黙々と作業をこなしていました。
そしてなんとか予定していた作業をすべて終わらせ、Aさんに声を掛けて帰ろうとした時、はじめてAさんの様子がおかしいことに気が付きました。
Aさんの目が虚ろなのです。
私はただならぬ気配を感じ、Aさんに話しかけました。
私「遅くまでがんばっているね。まだ帰れないの?」
Aさん「Bさんから頼まれた仕事が終わらなくて…」
私「そう、大変だね。」
Aさん「それより貸与パソコンのカメラで常に監視されているのが気になって」
私「監視?」
Aさん「(モニターの上にあるカメラのレンズを指さし)ここから常に私を監視しているんです。何も悪いことをするつもりなんてないのに、ずっと監視されているんです」
私「…」
Aさん「見張らなくても、悪いことなんかするつもりはないのに。ずっと監視されてて。それが気になって作業が進まないんです。」
私「誰もAさんのことなど見張ってないと思うよ。気にしすぎじゃない?」
Aさん「でもカメラがずっと動いているんです。誰かが監視しているんです。」
私「疲れているみたいだから今日は作業をやめて帰った方がいいんじゃない?」
私はこの時まで心の病を患っている人と関わったことがなかったので、Aさんが心のバランスを崩していることにすぐには気付いてあげられませんでした。
でも他の人がAさんの様子がおかしいことに気が付くまで、それほど時間は必要ありませんでした。
きっと私とのやり取りと同じようなことが他でもあったのでしょう。
その後、直属のパートナーとAさんとで話し合いが行われ、Aさんはしばらく休むことになり、気が付くと事務所を退職していました。
取り返しがつかなくなる前に
その後、Aさんがどのような人生を歩んでいるかは私には分かりません。
もしかすると今は心の病を克服して、どこかで活躍しているのかもしれません。
でも心の病は簡単には治らないことを考えると、Aさんは今もどこかで苦しんでいるように思えてなりません。
なぜAさんがこのような人生を歩まなければならないのでしょうか。
心のバランスを崩してしまった原因がどこにあるのかは私には分かりません。
もしかすると仕事以外のことが原因だったのかもしれません。
でも一日の大半を仕事に費やさなければならないことを考えれば、仕事が大きな影響を及ぼしていたことは想像するに難くはありません。
私はこの時のことを思い出すたび、仕事なんかのために心のバランスを崩してしまったAさんのことを悲しく思います。
仕事には自分を犠牲にしてまで捧げる価値などありません。
Aさんも辛かったのなら心のバランスを崩す前にさっさと逃げ出せばよかったのだと思います。
逃げ出すのは「悪」という考えが蔓延している世の中ですが、我慢を美徳とする偏った考えによって生み出された間違った考えなのではないでしょうか。
我慢し続けた結果、心のバランスを崩してしまっても誰も責任を取ってはくれません。
Aさんは他の人に比べて弱かっただけかもしれません。
でも人間らしい暮らしがあってこその人生であり、病気になってしまっては元も子もありません。
まとめ
監査法人で働いていると辞めたくなる瞬間は誰にでもあることだと思います。
そんなものは酒でも飲んで、すぐに忘れてしまえばいいと思います。
でも本当に辛かったら、心のバランスを崩してしまい取り返しがつかなくなる前にどうか逃げ出すようにしてください。
我慢することは美徳なんかではありませんし、逃げ出すことは何も悪いことではないのだから。
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