こんにちは。
「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。
この記事にたどり着いたあなたは「あーもう監査法人なんて辞めてしまいたい」と思っていますよね。
大丈夫、私も毎日思っています(笑)
公認会計士になった人は我慢強い人が多いです。
競争試験に勝ち抜くためには、我慢も必要。その試験を勝ち上がってきたきた人たちなので、とにかく辛抱強い人たちが多い。
また難しい試験を受けて会計士になったので、それなりに大成したいと思っている人も多い。
だから辛いことがあっても、将来を夢見て、頑張ってしまいがちです。
私も 「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」とシンジばりに自制して、ここまできました。
でも今考えれば、 辞めたいと思う気持ちを無理やり抑え込むのは間違いでした。
自分のキャリアプランを見直す機会を失い、気が付けば監査法人で苦しい立場に追い込まれていました。
これではまるで茹でガエルです。
私と同じような茹でガエルになりたくなければ、辞めたいという気持ちを封じ込めるだけではダメです。
その気持ちを深く掘り下げ、しっかり自分自身を見つめ直し、解決策を見つけるようにしてください。
辞めたいと思う理由
会計士が監査法人を辞めたいと考える理由はさまざまです。
でもその理由を大別すると、以下になると思います。
皆さんが監査法人を辞めたいと考える理由も、以下のどれかではないでしょうか。
監査がつまらない
若いスタッフの方に多い理由ではないでしょうか。
私もスタッフの頃は、「監査がつまらない」と感じていました。
なぜつまらないと感じるのかというと、監査を単なる作業として捉えてしまっているからだと思います。
私がスタッフだった頃、毎日の仕事は、前年度の監査調書を今年度版に更新することでした。
前年度の担当者が作った調書を開き、中の数値やコメントを今年度版に更新して保存し、サインすることが私の仕事であり、私のとっての監査だったのです。
これでは「監査がつまらない」と思って、当然だと思います。
本当は、こんな作業は監査でもなんでもなく、単なるデータの更新作業にすぎません。
でも当時の私は、監査とはこういうものなのだと思っていました。
短期的視点での解決策
もし監査法人に入所して2、3年目のスタッフの方が、「監査がつまらない」と感じているなら、上記のように、私と同じ状況に陥っているのかもしれません。
このような人は、もう少し頑張ってみてもいいではないでしょうか。
周りに「考える監査」に取り組んでいるチームがあるなら、このチームに入れてもらえるようにチーム編成担当のパートナーやマネージャに相談するのもいいと思います。
あるいは、そのようなチームが見当たらないのであれば、日々の監査の中で
- なぜこの手続を実施しているのか
- もっと効果的、効率的な手続きはないか
など、常に考えながら手続を実施すればよいと思います。
そして本当の「監査」を経験してから、つまらないものなのかどうか、判断すればいいのだと思います。
長期的視点での解決策
本当の「監査」を経験してもなお、「監査がつまらない」と感じるなら、次のキャリアプラン考えればいいと思います。
私は監査の戦略的な部分が好きです。
限られた時間や人員の中で、最も効果的、効率的に監査を実施する方法を思案しているときに、監査の面白みを感じます。
でも何が面白いと感じるかは、人それぞれだと思います。
「監査がつまらない」と感じるなら、監査以外で飯を食っていくことを考えるべきだと思います。
つまらないことを続ける理由など、どこにもないのだから。
ライフワークバランスが実現できない
公認会計士になった人すべてが、バリバリ仕事をやりたいというわけではありません。
ワークライフバランスを重視したいと考える人も、それなりの割合でいらっしゃいます。
かくいう私も、ワークライフバランスを実現したいと考えながら働いてきました。
でも、これがなかなか難しい。
監査業務にしてもコンサル業務にしても、期日が厳格に設定されている業務がほとんどです。
そのためスケジュールを立て、期日に遅れることがないように進捗管理しながら業務を進めていきます。
それにもかかわらず、突発事項が起きて、スケジュールが大きく遅れることもめずらしいことではありません。
こうなると何をおいても遅れをカバーしなければなりません。
いくらライフワークバランスを実現しようと思っていても、そんなことは関係なくなってしまいます。
短期的視点での解決法
突発事項でスケジュールを大きく乱してしまう原因の一つには、進捗管理の甘さがあると思います。
主査やプロマネが頭の中だけで進捗管理していると、突発事項が起こった時に混乱しがちです。
面倒でも、チームメンバーやクライアントとスケジュールやタスクリストを目に見える形で共有し、プロジェクトを進めていくことによって、ある程度の突発事項に対処できるようになると思います。
進捗管理自体にも時間がとられてしまうのですが、うまくいくと、トータル時間は短縮されます。
ライフワークバランスが実現できないと悩んでいる人は、進捗管理の方法を見直してみてください。
長期的視点での解決法
監査法人で行う業務は、多くの人を巻き込んで行う業務です。このような業務では、突発事項は当たり前のように生じるものです。
それに対して進捗管理を徹底するのは有効な手段だと思いますが、限界があるのも事実です。
このことを考えれば、ライフワークバランスを重視する人にとっては、監査法人は働きにくい職場なのだと思います。
年次が上がり、ますますライフワークバランスが実現しにくいと感じている人は、次のキャリアプランを考える時期なのかもしれません。
人間関係で悩む
人間関係に悩む会計士も少なくありません。
監査法人では、業務はプロジェクト単位で行われますので、割り当てられた業務ごとに一緒に働く上司や部下は変わるのが通常です。
今日は○○社でAさん、Bさん、Cさんと、明日は△△社でDさん、Eさん、Fさんなど。
このことを考えると気が合わない人がいても、毎日一緒になるわけではないので、人間関係に悩むことは少ないようにも思えます。
でも現実は、人間関係に悩む会計士は少なくありません。
私もこれまで法人内の人間関係にはさんざん悩まされてきました。
監査法人には、以下のようなタイプの人がたくさんいるように思います。
- 空気を読まない人
- 自己主張が強い人
- いつも機嫌の悪い人
- 被害妄想が酷い人
- 自分の周りに高い壁を築く人
もしかすると公認会計士を目指す人の中に、このようなタイプの人が多いのかもしれません。
こういったタイプの人が、上司だったり部下だったりすると、人間関係に悩むことになります。
私はそうでした(笑)
短期的視点での解決法
相手が自分と異なるタイプである場合、相手のことを否定しがちです。
でも相手を否定し、拒否していると、人間関係はますます複雑なものになってしまいます。
なのでまず相手を受け入れることから、始めましょう。
そして自分自身もできるだけ心を開くように努力してください。
自己防衛のため、心を閉ざしている人が多いのですが、人間関係を円滑にしたいなら、傷つくことを恐れずに心を開くことが必要です。
監査法人ではなぜか、朝にあいさつをしない人が多いように思います。
もしあなたもしていないなら、きちんと相手の目を見てあいさつしてみることから始めてもいいかもしれません。
長期的視点での解決法
こじれてしまった人間関係でも、早いうちなら修復可能です。
でも長年放置してしまった場合など、もはや修復不可能な場合もあると思います。
このような場合は、職場環境を変えるこを考えてもいいと思います。
監査チームの中で人間関係がこじれてしまったのなら、チーム編成を担当するパートナーやマネージャに相談するのもよいでしょう。
部門内の人間関係がこじれてしまったなら、自己申告制度などを利用して、部門異動の希望を出すのも一つの方法だと思います。
あるいは同じ努力するなら、壊れてしまった人間関係を修復するよりも、新しい職場で新しい人間関係を構築したいと考える人もいると思います。
このような人は、思い切って転職してみるのも、アリだと思います。
監査法人でやり残したことがあると思う人は、監査法人間で転職すればいいし、もうやり残したことはないと思えるなら、監査法人以外の転職先を探せばいいでしょう。
修復不能なら、悩んでいても仕方ありません。そんなものに悩まされるくらいなら、職場環境を変えることを考えた方が、よほど健全です。
やりたいことが見つかった
「やりたいことが見つかった」とは、うらやましい限りです。
そうであるなら、一刻も早く監査法人を退職したいことでしょう。
でもちょっとだけ、待ってください。
できるだけ後を濁さないように、飛び立つようにしてください。
監査法人では7月から新年度となり、チーム編成などはこのタイミングで見直されることがほとんどです。
なので退職するなら、6月末を最終出勤日とするのがベストです。
また退職の意向を伝えるのは、3月中がいいと思います。
辞めていく人の中には、希望日の1年くらい前に退職の意向を伝えてくれる人もいます。
でも早々に退職の意向を伝えるのは、考えものです。
退職の意向を固めた人は、職場の中では異物であることを意識すべきです。
退職の1年も前に意向を伝えられても、上司たちはその1年間の取り扱いに困るだけです。
また他の職員たちに「はやり病」のように退職が伝染することを懸念するものです。
なので繁忙期の直前に退職の意向を伝え、年度が替わる6月末を最終出勤日とし、それから有給休暇を消化し退職していくのが、ベストです。
監査法人を退職した後、何が起きるか分かりません。
もしかすると転職先でうまくいかず、監査法人に戻りたくなることも考えられます。
他でもない自分のために、できるだけ後を濁さないように、そっと飛び立つようにしましょう。
将来が見通せない
監査法人に勤める多くの会計士が、抱えている悩みではないでしょうか。
私もずっとこの悩みを抱えて、ここまできました。
でも私は「頑張っていれば何とかなる」と楽観的に考えてしまい、今になって監査法人で苦しい立場に追い込まれています。
以下の記事でも書きましたが、「普通の会計士は監査法人に残ってもパートナーにはなれない」という事実を真摯に受け止めるべきです。
残酷な言い方ですが、「パートナーになれないかも」と不安を感じている人は、パートナーにはなれません。
「パートナーになれないはずがない」と思えている人だけが、パートナーになっていくものだと思います。
これは、あなたが悪いわけではありません。
雇用の安定という観点から考えれば、監査法人という組織には致命的な構造的問題があるということなのだと思います。
私はこのことに気付くのが遅すぎて、次のキャリアを考えるタイミングを完全に逃してしまいました。
この記事を読んでいる皆さんは、どうぞ同じことを繰り返さないようにしてください。
労働市場での自分の価値が高いうちに、次のキャリアのことを真剣に考えるようにしてください。
まとめ
監査法人を辞めたいと考える会計士は、たくさんいます。
そして、その理由もさまざまです。
辞めたいと考える人すべてが、辞めて幸せになるとは思いません。
辞める前にやることがある人は、もう少し頑張るべきだと思います。
でも自分の努力だけでは、どうしようもないことがあるのも事実です。
そうしたことが原因で辞めたいと感じているなら、真剣にその思いに向き合うべきだと思います。
そうすることによって、私のように茹でガエルになる会計士が一人でもへるのであれば、本望です。
あなたも監査法人を辞めたいと思うなら、こちらの記事もどうぞ。
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