こんにちは。
「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。
昨年、学生時代に一緒に公認会計士試験の勉強をしていた友人が、勤めていた監査法人を退職しました。
その友人はベンチャー企業支援の仕事に携わっていたこともあり、多くの中小企業経営者との親交があります。
その中の何人かが彼のことを気に入ってくれて、独立開業したことを聞きつけて、彼と顧問契約を締結してくれたそうです。
ありがたい話ですね。
何があるか分からないので、やっぱり在職中は一生懸命仕事をしておくべきだと改めて思いました。
でも友人は、それだけでは食っていけないと言います。
そこで顧客を増やすべく努力しているそうですが、当面の食いぶちを稼ぐために、週に2日ほど中小監査法人で非常勤の仕事をしているそうです。
今日はこの「非常勤」の仕事について、考えてみたいと思います。
「非常勤」でいくら稼げるのか
独立開業した公認会計士が顧客の少ない間に非常勤で食いつなぐというのは、王道ですね。
私も監査をやっていた頃は、独立開業して辞めていった先輩や後輩に手伝ってもらうこともありました。
大手監査法人の場合、年間の上限日数が決められているケースもあるようですが、中小監査法人の場合はこのような上限はありません。
とはいえ毎日案件があるわけではないので、一つの監査法人から年間50日程度声が掛かるというのが一般的なようです。
友人は2つの監査法人で非常勤の仕事を受けており、合計すると年間100日程度になると言っていました。
気になる報酬ですが、日給5万円くらいが相場だそうです。
業務内容よって日給は変わるようで、コンサル案件などの場合は日給7万円以上の案件もあるそうです。
友人の場合は年間で100日程度ということですから、年間で500万円(5万円×100日)程度の報酬を得ていることになります。
この金額を見て、あなたはどう思いますか?
「非常勤」を本業とする
年間500万円というと私の現在の年収の半分以下です。
世間一般で考えれば悪くない年収なのかもしれません。でも公認会計士の年収としては物足りないと考える人が多いのではないでしょうか。
「一つの監査法人から50日程度呼んでもらえるなら、四つの監査法人と契約すれば年間200日になり、年収1,000万円も夢じゃない」と考える人もいらっしゃるかもしれません。
でもそこにはリスクがあることを認識すべきだと思います。
監査法人の「非常勤」の仕事には、さまざまなデメリットがあります。
不安定であるということ
中小監査法人で非常勤案件が多いのは、受注する業務量に波があるからです。
常に一定量の業務が見込まれるならば、常勤職員を雇えばいいだけです。
なのになぜ非常勤職員を雇うのかというと、受注する業務が減った時に非常勤職員をバッファーにして常勤職員の雇用を守るためです。
従って景気後退局面では、仕事を回してもらえないということが簡単に起こりえるのが「非常勤」の仕事なのです。
キャリア形成には不向き
監査のキャリアを積みたいと考えている人には、非常勤は不向きです。
雇う側からすれば、非常勤職員のキャリア形成に興味はありません。依頼した業務を一定の品質以上で実施してくれれば、それでいいのです。
従って常勤職員のように、長期的なキャリア形成を考えながら業務を割り当ててもらえることなど、ありません。
監査のキャリアをもっと積みたいと考えているなら、非常勤を選択してはいけません。
社会保険は全額自己負担
非常勤で働いていると社会保険は全額自己負担になります。
厚生年金にも加入できませんので、将来の年金受給額を増やしたい人は、国民年金基金に加入するなど自分でなんとかするしかありません。
非常勤の日給を一見すると高いように見えますが、社会保険料などがそこに含まれていると考えるべきです。
大手監査法人は利用を縮小
大手監査法人は非常勤職員の利用を縮小しています。
独立開業した元職員を支援するために非常勤職員として採用してきた大手監査法人なのですが、監査品質が問われる中、非常勤職員の利用は数を減らしています。
退職直後こそ法人のマニュアルへの理解は問題ありませんが、その後のアップデートが困難であることを考えると、仕方ないことなのかもしれません。
これらのデメリットを考えると、「非常勤」の仕事を本業にするのは避けた方が良さそうです。
非常勤の仕事のデメリット
- 不安定
- キャリア形成には不向き
- 社会保険料は自己負担
- 大手は利用を縮小
これらを考えると、非常勤の仕事を本業にすべきではない
「非常勤」で広がる選択肢
一方で、見方を変えると、見える世界が変わってきます。
年間100日程度で500万円ということですが、平均すると週2日(100日÷50週=2日/週)で500万円稼げるということなのです。
これは使いようによっては非常に有効な手段だと思います。
一週間のうち2日は食うために働くとして、残り5日を使って、さまざまなことにチャレンジすることができるのです。
友人のように開業した個人事務所を大きくするのも良いでしょう。
あるいは何かやってみたい事業があるなら、起業してみるのも面白いかもしれません。
例えばこちらの会社なのですが、立ち上げたのは公認会計士です。
この人のインタビュー記事を読むと、なぜ最初に会計士を選んだのかが気になるw
この人は普通じゃない方の会計士なのですが、私を含め普通の会計士はここまで振り切れないと思います。
でもだからこそ何かにチャレンジしたいときに、最低限の生活保障を「非常勤」の仕事に求めるのは全然ありだと思います。
非常勤の仕事の探し方
監査法人の非常勤の仕事は以下の方法で見つけられます。
紹介してもらう
監査法人を円満退職した人なら、古巣のパートナーに相談してみてください。
手が足りない状況なら、喜んで仕事を回してくれると思います。
また独立開業している知人から、紹介してもらうのも一つの方法です。
開業している会計士同士のネットワークもあるので、きっと非常勤の仕事も紹介してもらえると思います。
JICPA Career Naviで見つける
日本公認会計士協会が紹介している求人情報の中には、非常勤案件もあるのはご存知でしょうか。
手軽に非常勤案件を探したい人には、おすすめです。
転職サイトで見つける
できるだけ報酬単価の高い案件を見つけたいなら、以下のような転職サイトを利用するのがおすすめです。
いずれも監査法人の求人情報に強い転職エージェントなので、きっと条件に合った非常勤案件が見つかると思います。
マイナビ会計士(※マイナビのプロモーションを含む)
MS-Japan(※MS-Japanのプロモーションを含む)
ジャスネットキャリア(※ジャスネットキャリアのプロモーションを含む)
非常勤の仕事の探し方
- 紹介
- JICPA Career Navi
- 転職サイト
まとめ
非常勤を本業にするのはリスクが高いことから、おすすめしません。
でも自分のやりたいことを実現するために、非常勤を利用するのは十分にアリだと思います。
独立開業して自分の事務所を拡大させる段階で、利用するのもいいでしょう。
あるいは、そもそも監査や会計に縛られる必要すらないのかもしれません。
何か新しいビジネスを立ち上げるときやセミリタイヤに非常勤を利用するのもアリだと思います。
非常勤の仕事は、公認会計士の生き方に多様性をもたらしているのです。
このまま監査法人に残っていいのか迷っている方は、以下の記事もどうぞ。
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