こんにちは。
「書いている人」@CPABlogです(プロフィールはこちら)。
「開業会計士に聞いてみた」シリーズですが、今回は開業時の事務所についてまとめておきたいと思います。
飲食や小売では一部例外を除いて店舗の立地がその後の成否に重要な影響を及ぼすものですが、我々のビジネスの場合はどうなのでしょう。
制度上は自宅を事務所として登録して開業することも可能なことから、小さくスタートを切るか、最初から大きくスタートを切るか、悩みどころの一つでもあります。
都内の一等地にそれなりの広さの事務所を構えて上質な什器を揃えれば、お客さん受けは良いはずです。
でもそれだけ開業資金が必要になりますし、仕事が軌道に乗るまでの月々のテナント料の負担も心配です。
このあたりをどう考えるべきなのか開業会計士たちに聞きました。
見栄を張ることも重要
この点、開業会計士たちは
といいます。
経営者なら誰もが「できる会計士」に顧問になってもらいたいと考えている。そして「できる会計士」はたくさんの顧客を抱えており、儲けだってそれなりにあるはずと思っている。だから会計士は時には見栄も重要になることを忘れてはいけない。
顧客はよれよれのスーツを着ている会計士に仕事を頼みたいとは思わない。ファッションに興味がなくてもパリッとしたスーツを着るように気を付けるべき。
自分も本当はブランド物には興味はないのだが、100万円近い腕時計を何本か所有しており、顧客と会うときには着用するようにしている。
また利用目的を考えると本当は軽自動車で十分なのだが、あえて外車を選択して乗っているのも「見られ方」を気にしているから。
同じように事務所も多少無理しても新しいビルで少し広めの事務所を借りることを考えるべき。
確かに私も専門家に仕事を依頼するならば、仕事の難易度に関わらず「できる専門家」に依頼したいと考えます。
誠実さも重要なポイントなので派手に着飾っている人は敬遠すると思いますが、やはり良いものを身に付けている人はそれだけ仕事で成功している人だと思うのが人間なのだと思います。
顧客を騙すのはいけないことですが、最初の印象を良くする努力は必要なことです。
事務所が単なる作業場なのであれば、自分が使いやすい事務所にすればいいだけですが、顧客が訪問することを考えれば、やはり「見られ方」にも気を遣う必要があるということなのだと思います。
ゼロスタートならば
とはいえ顧客が全くいないゼロスタートの場合でも、無理をして一等地に事務所を構えるべきなのでしょうか。
この点、開業会計士たちは
ゼロスタートで収入がない中で月々のテナント料を支払わなければならないのは大きなプレッシャーになる。このプレッシャーが良い方向に作用して頑張れるなら良いのだが、プレッシャーに押しつぶされてしまうくらいなら、最初は小さくスタートするのが良い。
自宅でも工夫次第で生活空間と事務所スペースを分けることはできるはず。顧客とはできるだけ客先で会うようにすることで自宅開業のデメリットもある程度回避することも可能。
自宅は仕事ができる環境ではないという人は作業場として安い賃貸マンションを借りるのもいいし、レンタルオフィスやシェアオフィスを使う手もある。
そして顧客が増えてきたときに、少し見栄を張った事務所に移転すればいい。
といいます。
どれだけ自信を持ってスタートできるのかによって、取るべき戦略は違うということなのでしょう。
会計事務所等で十分な経験を積んでおり、開業後の拡大を簡単にイメージできるようなら、大きくスタートするべきです。
一方でしばらく試行錯誤する覚悟で独立開業するならば、最初は安全を見て小さくスタートすべきなのでしょう。
また仕事とプライベートの垣根をどうしたいかということも、考えておく必要があるように思います。
自宅開業だと仕事とプライベートの区別があいまいになりがちです。
いつでも仕事ができる環境だからこそ、集中できずにダラダラ仕事を続けてしまったり、反対にプライベートがなくなってしまったりすることも考えておかなければなりません。
私は仕事とプライベートをきっちり分けておかないと集中できずにダラダラしてしまうタイプなので、自宅開業はしない予定です。
とはいえ大きくスタートを切るほど自信もありませんので、作業場として近くの賃貸マンションの一室を借りることになりそうです。
その他の選択肢
昔は独立開業といえば
- 自宅で開業するか
- 賃貸オフィスで開業するか
くらいしか選択肢はありませんでしたが、近頃はこれ以外にもさまざまな選択肢があるようです。
当面の間、人を雇わず一人で仕事をする予定ならレンタルオフィスやシェアオフィスを利用する方法もある。シェアオフィスはレンタルオフィスに比べると割安だが、フリーアドレスシートなどはセキュリティ面での心配はある。我々の仕事は顧客の機密情報を扱う仕事であることを考えれば、最低限個別ブース等を利用すべきなのかもしれない。レンタルオフィスの方が割高だが、鍵付きの個室が利用できるところが多い。
レンタルオフィスやシェアオフィスなら来客時には会議室を時間借りしたり、電話の代行や秘書サービスなどを利用することも可能。コピー機、プリンターなども設置されているものを料金を払えば利用できることから開業費用を抑えることができる。
他の利用者も同じように起業したての人が多い。将来の顧客候補が周りにいるということなので、積極的に関わりを持って人脈を広めるよう努めるべき。
事務所運営が軌道に乗るまでの間と考えるなら確かにレンタルオフィスやシャアオフィスを利用するのも面白そうです。
費用を抑えようと中途半端に自宅開業してダラダラしてしまうより、きちんと着替えて外出することによって仕事にメリハリをつけれそうなのもメリットですね。
一人開業を予定しているなら電話代行や秘書サービスは必須だと思いますので、オプションでこれらのサービスを利用できるのも便利です。
なお場所によっては法人登記や開業登録には利用できないところもあるようなので、これらのオフィスで開業登録する場合は確認が必要です。
その他にも自治体が運営しているインキュベーションオフィスを利用するという手もある。
インキュベーションオフィスとは起業や創業をするために活動する入居者を支援する施設のことをいうのだが、施設によっては条件を満たせば士業でも利用できるところがある。
利用期間が3年程度に制約されているところが多いが、利用料金が安いのが魅力。また他の利用者は起業家たちであり人脈を広げる意味でも利用価値は高い。
インキュベーションオフィスは条件が合えば起業家として士業者も受け入れてくれる施設もあるようです。
一方で他の起業家たちのサポートになることを期待して士業者を進んで受け入れている施設もあるようなので、近くの施設を確認してみると良いのではないでしょうか。
こちらもレンタルオフィスやシェアオフィス同様、事務所運営が軌道に乗るまでと割り切ってしまえば、利用期間の制約などは気にならないように思います。
まとめ
独立開業を考えるにあたり、昔に比べるとさまざまな選択肢が選べるようになっており、便利な世の中になりました。
どこにどれくらいの事務所を構えるかは事務所運営の方針の一つであり、自分が思うように決めるべきものです。
生まれ育った地元で大きく開業するのもいいでしょうし、憧れの街で小さく開業するのもいいでしょう。
あなたならどこにどんな事務所を設けますか?
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